聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。



「いただきます」


 一口サイズに切ったそれを口に入れると、甘い香りと濃厚な卵の味が口いっぱいに広がった。


「……美味しい」

「本当か!?」

「うん。これね、父に作って貰ったの……レシピも父の」


 このフレンチトーストは、お父さんの自作のレシピだ。私が悲しいことや辛いことがあった時、必ずフレンチトーストを作ってくれた。

 トッピングでアイスクリームやチョコレート、生クリームをたっぷりつけて。


「いい父さんだな」

「……うん、とても」


 また一口食べると、かかっている蜂蜜が甘くて美味しい。



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