You...〜私の気持ち〜 season1

2.「あいつ」の正体

『きゃー!』
『えっ嘘!本物!?』

式場の入り口辺りが騒がしくなった。
お兄ちゃんが言っていた『あいつ』が来たんだと直ぐに分かった。

お兄ちゃんのバカ。なんで私に頼むかな。
なんて声を掛ければいい?
緊張しちゃうじゃん。
どうしよう

『み...お...?』

背中越しに聞き覚えのある声。声を聞いただけで、あの時の記憶が蘇ってくる。

『あいつ』は
お兄ちゃんの同級生で親友の
藤堂春瑠《とうどう はる》。

私が密かに憧れていた人。

春瑠君はHARU(はる)という名前で有名な事務所に所属するタレント。
高校生の時にスカウトされて事務所に入った。
今日は親友であるお兄ちゃんの結婚式ということで、マネージャーさんの付き添いのもと、スケジュールを調整して来てくれた。

那『春瑠!久しぶりだな。今日は来てくれてありがとな。』

春『久しぶり!
 マネージャー付きでごめん。てか、めっちゃ似合ってるじゃん!』

那『春瑠に負けてないだろ!』

春『だな!』

那『あっ、そうだ。今日は、マネージャーさんと一緒に美桜がお前に付き添うからよろしくな。美桜のこと覚えてるよな?』

春『覚えてるよ。』

那『美桜!何やってんだよ。こっち来て!』

美「そんな大きな声出さないでよ。」

那『お前がもじもじしてるからだろ。お前いくつだよ。』

美「やめてよ。」

マ『美桜さん、今日はHARU共々よろしくお願いします。』

美「こちらこそ、よろしくお願いします。」

那『さっ!俺は準備してくるからあとでな。』

美「いってらっしゃい!

 えーっと、お久しぶりです。今日は兄の為にありがとうございます。」

春『こちらこそ。今日はおめでとうございます。仕事もあって、あんまり長くは居られないけど・・・』

美「はい。よろしくお願いします。」

緊張する。
春瑠君の姿を見るとあの頃の記憶が蘇ってくる。
あの頃の気持ちに気づいてるけど、認めるのが怖くて、春瑠君をテレビや雑誌で見ないようにしていた。

あの頃...
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