恋に異例はつきもので
第1章 最悪の第一印象
 ある日の会社帰りのこと。
 久しぶりに営業部の先輩と食事をした。

「あー、美味でした。ごちそうさまです。沙織先輩」
「ふー。満足した。評価高いだけあったね」

 訪れたのはオープンしたばかりのカジュアル・フレンチ。
 新鮮な魚介が売りで、ソースは日本人の好みに合わせたあっさりしたもの。
 ソムリエのワインセレクトも完璧だった。

「そういえば花梨、何を一生懸命メモしてたの?」

「いずれお店のプロデュースを手がけたいと思ってて。気づいたことは必ずメモるようにしてるんです」

「年末の企画書コンペも応募したんだっけ」
「はい。結果は選外でしたけど」
「チャレンジ続けてたら、絶対チャンスはあるよ。頑張って!」
「はい!」

 沙織先輩は同性でも思わず見惚れてしまう表情で、わたしに微笑みかけた。

 
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