恋に異例はつきもので
 3月初旬の午後9時すぎ。
 ほろ酔いのほてった頬に冷たい空気が心地いい。

 この時間、駅前広場はまだまだ多くの人でにぎわっている。

 スマホ片手に植え込みのレンガに腰かけてるサラリーマン。別れがたそうな若いカップル、大学生らしき人の輪。
 2次会に行く算段でもしてるんだろう。
 取り立てて変わりのない、ありふれた、どこか、まったりとした光景。
 
 けれど、突然、その空気が一変した。
 
 
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