コンチェルトⅡ ~沙織の章

沙織は 夜、紀之に そのことを話した。
 

「樹は、お兄ちゃんの自覚があるから。優しい子だよ。」

と紀之も 満足気に微笑む。
 


紀之は 樹を お兄ちゃんとして 

翔に 尊敬させるように 接していた。



子供達に 何かをする時は 必ず 樹を先にした。

『お兄ちゃんが先。』

と言って。
 

だから樹は 翔を守る。


自分が お兄ちゃんで いつも 優先されていることを 知っているから。



そして翔も お兄ちゃんを 尊敬する。
 


きっと 紀之も 小さな頃 こんな風に 智之と遊んだのだろう。


沙織は 紀之を育てた お父様とお母様を思う。


もっと 色々教えてほしい。


お父様とお母様に。



そして お母様のようになりたい。


沙織は 強く思っていた。
 
 









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