コンチェルトⅡ ～沙織の章

紀之は　帰りたがらない沙織を　月に一度は　実家に連れて行く。
　

「明日は　杉並の　お祖父ちゃんの家に　行こう。」

紀之が言うと　樹と翔は　笑顔で頷く。
　

「えー、いいよ。行きたくないなあ。」

沙織が　小声で言うと、
　

「少しだけでも　顔を見せよう。お母さん　安心するから。」

紀之は　沙織を見て　苦笑する。
　

「お祖父ちゃんの野菜　今度は　何が採れるかな。」

樹と翔が　楽しそうに言うから　沙織も笑顔で、
　
「そうね。楽しみね。」

と頷いてしまう。
　

樹と翔は　先入観を持たずに　父に馴染んでいた。