コンチェルトⅡ ~沙織の章

「お母さん。お祖父ちゃんの部屋に 行ってもいい?」

沙織達が 実家に行っても 父は 和室から出てこない。
 

「いいわよ。」

沙織が言うと 二人は
 

「お祖父ちゃん、入っていい?」

と和室に入って行く。
 

「こんにちは。お祖父ちゃん、何読んでいるの?」

無邪気に 声をかける子供達。


「うん。経済新聞だよ。お父さんも読むだろう。」

父も 樹達には 気負わずに話す。
 

「お父さんも 毎日 読んでいるよ。難しい漢字が多くて 僕は よくわからないよ。」

樹の 子供らしい言葉に 父は笑顔になる。
 

「ミニトマトが たくさんなっているよ。樹と翔で採るか?」

気難しい 偏屈な父を 笑顔にしてしまう子供達。
 

「お母さん。お祖父ちゃんと ミニトマト採ってくるね。」


定年後 2階の部屋と ベランダに 父は プランター菜園を作っていた。


父の手を引いて 階段を 上がって行く子供達。


沙織は 複雑な思いで 見つめていた。
 












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