コンチェルトⅡ ~沙織の章

家にいる時の 紀之は 冗談ばかり言って 笑っている。


不機嫌に 黙り込むようなことは ないから 

沙織は いつも安心して 寛いでいられた。


そんな沙織を見ることで 紀之も 寛いると信じられた。
 


沙織が 着替えを持って 脱衣室に行くと、

中から 楽しそうな 笑い声が響いている。


外では しっかり者の樹も 紀之には 翔と同じように甘える。


優しく包んでくれる 父親がいるから 

樹は 外で頑張れるのだと 沙織は思う。
 



「いつまで遊んでいるの。そろそろ、出なさい。」

賑やかな浴室に 沙織は声をかける。


紀之と子供達の為に 沙織が 叱り役をする。
 

「はーい。」

笑いながら答える 子供の声に 

涙が出るほどの 幸せを感じながら。







 
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