コンチェルトⅡ ~沙織の章

「樹も やりたい事があれば そっちを 目指していいんだよ。」

紀之は 優しい目で 樹を見る。
 

「俺は お父さんの会社を 継ぎたい。お祖父様や お父さんみたいに。廣澤工業の 社長になりたいんだ。」

樹は 明るく言う。
 

「そうか。ありがとう。樹は しごき甲斐が ありそうだな。」

紀之の言葉に 樹が ギョッとした顔をする。


助けを求める目で お父様を見る樹。


お父様は、
 
「社長も 医師と同じくらい 大変な仕事だからね。樹 覚悟した方がいいよ。」

と笑いながら言う。
 

「ちょっと 樹。簡単に 考えていたんじゃないでしょうね。」

みんなの 明るい空気を 守るように 沙織が言うと 
 

「ヤバい。誤算だ。」

と樹も笑った。
 










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