Tear Flowers〜快楽は毒に変わる〜
職員室は昼休み中ということもあり、先生が愚痴をこぼしたり楽しげに話している。その中にレイモンドも混ざっていた。しかし、ユリウスはこの二週間、昼休みに他の教員と楽しげに談笑していたことはない。

(何であそこまで関わろうとしないんだろう……。疑われるってわからないのかな)

エヴァンがそう思っていると、ユリウスがゆっくりと立ち上がり、職員室を出て行く。薬物を売りに行くのか、と思ったエヴァンは慌ててユリウスのあとを追った。

ユリウスは廊下をゆっくりと歩いていく。エヴァンは「ユリウス先生!」と声をかけた。ユリウスは面倒くさそうに振り返る。

「あの、どちらに?」

「タバコを吸いに行くだけだが?」

ユリウスはそう言い、スーツのポケットからタバコの箱を見せる。中に入っているのは違法薬物でできた葉巻きなどではなく、普通にお店に売られているタバコのようだ。

「昔は職員室でも吸えたんだが、今は受動喫煙がどうのこうのってうるさくてな」

「そうなんですね」
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