Tear Flowers〜快楽は毒に変わる〜

エヴァンがそう言うと、会話が終わったと判断したユリウスはまた廊下を歩き出す。再び声をかけるべきか、それとも職員室に戻るべきか、エヴァンが悩んでいると無線にアルミンから指示が入る。

「エヴァン、ユリウス先生に薬物事件について何か知っているかどうか聞いてほしい」

「わ、わかりました……」

エヴァンは廊下を曲がっていこうとするユリウスに、「もう一つ質問させてください！」と声をかける。ユリウスは「何だ？」とイライラした様子で答えた。指をトントンと叩き、心理学のわからないエヴァンでも彼が苛立っているのだと一瞬でわかる。

「あの、この学校で薬物事件が相次いでるのはご存知ですか？」

エヴァンがそう訊ねると、「そりゃあニュースであれだけ騒がれているからな！」とユリウスは怒りを含んだ声で返す。

「でも、俺は何も知らない！これ以上薬物のことを話すな！気分が悪くなる！」

エヴァンから目を逸らし、ユリウスは廊下を歩いていく。あれだけ苛立ったユリウスが犯人だろうと信じ、エヴァンは喜びから拳を握り締めたものの、アルミンの一言によってそれは一瞬で崩された。