捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
「私としては、奏士さんのお部屋に引っ越す日にちを、まずは決めたいかな」
「俺は明日でもいいくらいだけれど、功輔がハウスクリーニングを入れるだの、新しい家具を入れるだのうるさくてね。もう少し待ってくれるか?」
「功輔さんが言うなら仕方ないわ」

ハネムーンの場所、結婚式の色々、里花と話したいこと、決めたいことがたくさんある。
だけど、俺は喜びですっかり浮かれきっていて、今考えられるのは早く里花にキスをしたいということだった。功輔の言葉じゃないが、確かにがっついているのは間違いないだろう。
そんな俺の様子がわかるのか、里花はふふとわずかに微笑んだ。

「まずはごはんを食べにいきましょう」
「俺の部屋には?」
「その後、行きます」
「約束したからな。絶対だぞ」

俺の子どもっぽい言葉に、里花が声をあげて笑った。

「奏士さんたら」
「仕方ないだろう? 子どもの頃から好きだった子に、プロポーズをOKしてもらったばかりなんだから」
「ふふ、嬉しいです」

可愛い笑顔は、俺が初めて会った瞬間から変わらないものだった。



(おしまい)



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