不条理なわたしたち
「妊娠したら女の人だけ我慢するのは可哀想じゃない。だから俺も君と一緒に我慢するよ」

蓮水さんは顔を少し傾げると柔らかく微笑んだ。

蓮水さんには気遣いではないのかもしれない。
彼は地で行っているだけなのかもしれない。

絶対蓮水さんは天然たらしだ。

だって私をこんなにもドキドキさせるから。

頬に触れている指も落ち着かないし、彼を見ていると彼の色香に惑わされそうで、怖くなった私は顔ごと逸らした。

「そういえば、今日の晩ご飯は何ですか?」

落ち着こうと会話を投げた。

「何だろう?」

疑問系で返され、私は眉を寄せながら逸らした顔を蓮水さんに戻した。

「何だろうってどういうことですか?俺に任せてって言ってたじゃないですか」

だって昼食中に食べ物の好き嫌いまで訊かれたのに。
< 67 / 120 >

この作品をシェア

pagetop