不条理なわたしたち
自分達についての会話をし始めた昨日からだが、蓮水さんと接していて思ったことがある。
蓮水さんは簡単には引き下がらない、不屈の精神を持っている。

「私が産むと決めたら連絡はしますが、まだ無理です!」

拒否した私を見ながら蓮水さんは苦笑い。

「君が覚悟を決めてくれたか試した。ごめんね」

蓮水さんは私の頭を優しく撫でた。

私がこんな酷い態度を取っても怒りもせず、私を慰める蓮水さんはやっぱり大人だ。

「あの、蓮水さんのご両親は、大丈夫ですか……?」

彼の両親にも孫が出来る可能性があるし、そんな流れになったから確認しておきたかった。

「俺の両親は海外に住んでるから、機会があった時に絶対に会ってもらうね」

挨拶をしなくて済んだとホッとするよりも、スケールの違いに再び口がパカリと開いた。

そういえば、

「蓮水さんはどんな仕事をしているんですか?」
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