不条理なわたしたち
「たくさん勉強してたからこんな凄いお家に住んでるんですね。凄いです」

だから私とは住む世界が違うんだな。




「ちょっと仕事したいから話はまた明日でも良いかな」

蓮水さんにそう言われて私は「はい」と返して時計を見た。
話に夢中になっていたらいつの間にか二十二時になっていた。
これからお仕事をしなければいけないのは大変だな。

「蓮水さん、無理をしないで下さいね」

心配して声を掛けると柔らかく微笑まれた。

「ありがとう。葵ちゃん、少し抱き締めるさせて」

拒むことは出来た。

でも私は小さく頷いてしまった。
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