不条理なわたしたち
すぐにベルガモットの香りが私を包む。

耳が彼の硬い胸板につくと、鼓動の音が聞こえた。

トクトクと聞こえる鼓動の音を心地好く感じていると身体が離された。


チュッ。


抱きしめるだけだと言ったのに、唇にキスを頂戴した。

驚いた私は目を見開きっぱなしだ。

「あ、そうだ。鍵を渡しておくよ」

蓮水さんはそんな私の手を掴み、ポケットから出した鍵を私の手の平に乗せた。

「あったかくして、ゆっくり休んで」
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