最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「私は貴方を助けるって言ったでしょ?」

「でも……」


「でもじゃない」

「だけど、僕は君のことをなにも知らない」


「……忘れてしまったのね。
それでも私は構わない」


闇姫の言葉がわからない。


どういうことなの?と少年は首を傾げた。


「いいの、私が覚えてるならそれで。だけどね、敵のテリトリーに1人で来るのは感心しないわ。視察するなら今度は仲間を連れてこないと、ね」


闇姫は少年に忠告をすると、自分の腕をその場に落ちていたナイフで軽く切った。


「なにしてるの!?」

「こうでもしないと貴方を助けられない」


そういうと闇姫はポタポタと流れる血を少年の口元に落とした。


―――ドクン。少年の心臓の音がなる。


息を吹き返すように。それはまるで枯れてしまった花が水を与えられて喜ぶように。
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