私の王子様は会社の社長 ～突然私は婚約者になってしまった～

「桜井さんは何も悪くないのだけれど、君を良く思わない奴らが沢山いるからね。」

「---っえ？そうなのですか？」

その後の佐伯さんの説明で分かったことは、如月社長の婚約者という立場を良く思っていない人が沢山いるらしい。
如月社長はもちろん女性社員には人気がある。
その女性たちからしてみれば、婚約者の私は許せない存在になるだろう。
男性からしてみれば、如月社長の近くにいる私は、何か告げ口などされないかと心配な存在らしい。
どちらにしても、私は迷惑な存在ということになる。

「桜井さん、僕も君が頑張ってこの会社に入ってくれたことは知っているし、力になりたいんだ。君を守ってあげるには社長付の秘書になってもらうしかないと思っている。僕の部下として働いてくれないかな？」

佐伯さんの言ってくれたことは、とても嬉しいが、私が社長付の秘書として大丈夫なのだろうかと心配になった。

「佐伯さん、私に務まるのでしょうか？」

佐伯さんはクスッと笑いながら、私の頭をポンポンと叩いた。

「僕は厳しいですよ。でも桜井さんなら着いてきてくれると信じています。頑張ってください。」