私の王子様は会社の社長 ~突然私は婚約者になってしまった~
配属先

「今日は私の研修の最終日です。これから確認テストを行います。」

2週間続いた佐伯さんの研修も今日が最終日だ。
厳しい研修ではあったけど、今日で終了するのは少し寂しい。
夏子は佐伯さんの大ファンでもあるので、研修が終わることがとても悲しいようだ。

午前中の確認テストが終了したお昼休み。

社食に向おうと、夏子と歩き出した時に佐伯さんから呼び止められた。

「桜井さん、少し時間良いかな?」

私と夏子が同時に振り返ると、佐伯さんは夏子に向かって話し始めた。

「坂本さん、悪いけど桜井さんに話したいことがあるので、お昼休みに桜井さんを借りても良いかな?ランチ一緒に行くところだよね、ごめんね。」

夏子は大好きな佐伯さんに話しかけられたことで、真っ赤になり頷いている。

私は佐伯さんの後ろについて歩き始めた。
佐伯さんが向かったのは、社長室だ。

「桜井さん、如月社長は今外出中だから、緊張しなくて大丈夫だよ。」

社長付きの秘書である佐伯さんは、社長室の中にも自分の机を持っている。
佐伯さんは机の上の資料を手に取ると、私をソファーに座らせた。

「桜井さん、君はこれから秘書課で働くことになるのだけど…少し心配なことがあるんだ。」

私はそんなに心配されるほど、能力が無いのかと少し落ち込んでいると…

「桜井さんは真面目だし、仕事は全く心配していないのだけど、君のまわりが心配なんだ。」

「まわりとは?」

意味が良く分からず、佐伯さんに質問した。

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