私の王子様は会社の社長 ~突然私は婚約者になってしまった~
業務提携などで忙しくしていたが、それからあっという間に半年が過ぎていた。
今日は徹さんと私の結婚式だ。
ここはキサラギグループが新しくオープンさせた、都内なのに南国リゾートを感じることが出来る、ラグジュアリーホテルだ。
自然光を取り込む美しいチャペルがあり、これから結婚する女性の間では、かなり話題になっている。
このホテルで、式と披露宴が行われる。
披露宴は会社関係の方々をお呼びしているので、参加者は1000名にも及ぶ盛大な披露宴になる予定。
最近では、豪華な結婚式を望まない傾向があり、珍しいようだ。
披露宴は、どちらかというとビジネスの交流会のような目的だ。
ホテルの敷地内に建てられたチャペルで、間もなく式が始まるところだ。
担当の女性が、部屋に迎えに来てくれた。
私は椅子から立ち上がりながら、お腹に向かって声を掛ける。
「さぁ、これから結婚式に一緒に行こうね、ベビーちゃん。」
私のお腹の中には、徹さんとの宝物である、赤ちゃんを授かっているのだ。
「陽菜様、お足元に気を付けてくださいね…」
教会の扉が開くと、親しい人達や友人の顔が見える。
そこには、徹さんのお爺様の姿もあった。
私の姿を見て、涙ぐんでくれる父親と腕を組んで、バージンロードを進んでいく。
温かい祝福の拍手が聞こえてくる。
その先には、私の愛している男性が待っていてくれる。
もちろん、私の王子様である徹さんだ。
徹さんは、近づく私に手を差し伸べてくれている。
私はこれから、この手をずっと掴んでいくのだろう。
神父様の前で、徹さんが小声で囁いた。
「陽菜、とても綺麗だよ。僕のプリンセスは世界一だ。」
そして、そっと私のお腹にも優しく触れて微笑んだ。
「君に会えるのが楽しみだよ。愛している。」
私の憧れの王子様は、世界一素敵な旦那様になりました。
そしてもうすぐ、私達の天使も誕生する予定です。
王子様との幸せなお話は、まだまだ続いていくでしょう------。
~~~ 完 ~~~