奏でる愛は憎しみを超えて ~二度と顔を見せるなと言われたのに愛されています~

 
奏が次に梨音を見かけた時、彼女はまだ中学生だった。

大学生の彼は自由気ままに暮らしていて、その日も午後からの授業に出ようと通用口から出ようとしたら梨音が入ってきたのだ。

「やあ、久しぶり」

小柄だと思い込んでいた梨音は、いつの間にか背が伸びていた。
可憐な少女だと思っていたが、スラリとしていて将来の美しさを感じさせるほど大人びていた。

「あ、奏さん。ご無沙汰しています」

「どう、調子は?」
「ありがとうございます。とっても楽しいです」

ニコニコと話してくれるが、目上の者に対する礼儀正しい話し方だ。

(違う、こんな話しがしたいんじゃない)

奏は焦ったが、8つも年下の梨音になんて声を掛ければいいのかわからなかった。

「じゃあ、これからも頑張ってね」

それだけ言うのがやっとだった。
大学ではモテる言われているが、奏は軽々しく女の子と付き合うタイプではない。
小さい頃にも彼女には『頑張って』しか言えなかったが、今の彼女に相応しい言葉はなんだろう。
奏は戸惑った。
どうして彼女のことが気になるのかわからないし、彼女に掛ける言葉が見つからないのだ。


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