凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました～臆病な彼女を溶かす溺愛初夜～

　あっという間に出発の時間になる。十二時五分発、十三時四十分着のフライト便に搭乗した。

　羽田空港に到着してからは、新川さんに会えるだろうか？　という期待が頭の片隅になりを潜めている。

　二階の到着ロビーに足を踏み入れてすぐ新川さんの姿を確認した。思わず歩みを止めそうになったところで、隣にいた新人コーパイの二階堂(にかいどう)が先に立ち止まる。

「あれ？　新川さん、今日は到着便担当してる」

　同じように彼女を眺めていたことに驚きつつ、腹の底から煙がゆっくり立ち昇るようなモヤモヤした気分になった。

「急な配置換えがあったのかな」

　出発ロビーは三階だ。たしかにここにいるのは珍しい。

「椎名さん、新川さんのことご存じです？」

　話を振られ、「ああ」とうなずく。

「俺、彼女に助けられた回数が一番多いんです」

　俺にわざと彼女との親密さをアピールしているのか？　いや、そんなわけがない。

　一度冷静になろうと、小さく息をつく。