凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「カレーってひとり分を作るのは難しいだろう。かといって俺の生活パターンだと、二日目三日目に必ず食べられる保証はない。だから手作りのカレーはもうずっと口にしていないんだ」

 説明を受けて、単純な理由ではなかったのだと驚く。

 笑っちゃったの失礼だったな……。

「まあ、単純にカレーが好きだからというのもある。夏って辛いものが食べたくならないか?」

「それなら香辛料をたくさん使った、ルーから手作りしましょう!」

 拳を作ってやる気を見せると、今度は虹輝さんがたまらないといった様子で噴き出した。

「頼もしいな」

「任せてください」

 こういうなにげない会話が楽しい。初めて言葉を交わした夜に虹輝さんが言っていたように、彼とは波長が合うので無言も気にならないし、会話のテンポもちょうどいい。

「ちなみに香辛料ってどんなのが必要? うち、そんなに揃っていないと思う」

「私のマンションに寄ってもらってもいいですか? 取ってきます」

「それは全然いいけど……」

 語尾がスッキリしなかったので、なにか他の問題があるのだろうかと瞬きをする。

 虹輝さんは私をチラッと横目で見て、「いや、なんでもない」と口を閉ざした。

 なんだろう。気になるけれど、なんでもないと本人が言うのだからなんでもないのかな。
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