凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 それから話題は料理に移り変わり、あれやこれやと話を弾ませているうちに私のマンションに着いた。

「すぐに戻ってきますね」

 シートベルトを外してドアを開けようとした私の手首を虹輝さんがいきなり掴む。

「一応、泊まれる用意も持ってきて」

 とても真剣な表情で告げられて、心臓がドクンと脈打った。

 口を引き結んで大きくゆっくりうなずくと、虹輝さんは安堵したように肩の力を抜く。

 なんでもスマートにこなしてしまうと思っていたけれど、実は私みたいに頭の中でいろいろ考えているのだろうか。

 彼への愛しさが爆発しそうなほど膨れ上がり、胸がぎゅうっと締めつけられて甘く痛んだ。

 明日も互いに休みだけれど、いつまで一緒に過ごすつもりなのだろう。午後から英会話のオンラインレッスンが入っている。パソコンも持っていく?

 いったい何時まで居座るつもりだ、と鬱陶しがられるかな。

 必要なものを大きめのバッグに詰め込みながら考えに考え、レッスンの時間までには帰ってこようと決心する。

 私もやるべきことがあるし、虹輝さんだってひとりの時間は必要だ。その一線はきちんと引かなければまた過去の失敗を繰り返す。
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