凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 たったこれだけのことで動揺して不安になって情けない。

「付き合わせてごめんね。雨がひどくなる前に帰った方がいいよね」

 昼過ぎから雨風は鳴りを潜めているが、夜にかけてまた大雨になる予報だ。

「私は全然大丈夫です。なんなら夜までお付き合いしますよ?」

 朱莉ちゃんの優しさがじわりと胸に沁みて、また感情の波が荒くなったような感覚に陥る。

 ちょっと情緒不安定すぎるな。

「ありがとう。今日のところは深く考えずに連絡待ってみる」

「もう、椎名さん帰ってきたら私からガツンと言ってやるんだから!」

 鼻息荒く、プンプンという効果音が一番合う様子の朱莉ちゃんに、できる限り声を明るくして「ありがとう」と伝えた。

 しかし私の強がりも虚しく、とうとう三日経っても虹輝さんから連絡は入らなかった。

 
 ここまできたら、スマートフォンが壊れたのだろうと推測する。

 もしかして現地でCAといい感じに……という考えが一度も脳裏をかすめなかったのかと聞かれれば、答えはノーだ。

 虹輝さんに限ってそんな真似は起こさないと頭ではわかっているのに、ほんの僅かでも疑う気持ちを作った自分に嫌悪する。

「……新川さん? 聞こえてる?」

 意識が違うところに飛んでいてハッと我に返る。真横に同僚のグランドスタッフがいて息を呑む。
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