凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「最近体調悪そうにしているけど大丈夫?」

「ごめん、大丈夫」

 四連勤最終日、遅番の私は二階の出発ロビーでゲート勤務にあたっているのだが、先ほど休憩を終えて移動している最中に横から呼びかけられていたらしい。

「でも、ずっと元気がないよね」

 頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。

 仕事中は笑顔を絶やさず過ごしているつもりだったのに。

「無理しないでね。じゃあ、私はこっちだから」

 同僚はにっこり笑い手を軽く振って持ち場へと歩いていく。私も歩みを進めたいけれど足が鉛のように重くて動かない。

 接客業なのにこんなふうになってしまってはダメだ。

 恋愛を中心にして生きるという最も恐れていた事態を起こしている。

「どうしよう」

 口にしたら少しは気持ちが楽になるかと思ったけれど、泣きそうな自分の声が余計に心をざわつかせた。

 休憩時間はまだある。トイレに行って頭を切り替えよう。そう考えて足を動かそうとしたとき。

「菜乃!」

 自分の名前が辺りに響き渡り、何事かとうしろを振り向く。足早にこちら目がけて一直線に歩いてくる虹輝さんの姿を見つけて、胸がぎゅうっと締めつけられた。

 虹輝さん……。
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