凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「脱いでいいですよ? お父さんは私服だろうし」

「第一印象が大事だから」

「虹輝さんはなにを着てもカッコいいから大丈夫なのに」

 口を尖らせる菜乃が可愛くて、その唇に口づけたくなる。

 しばらくして菜乃の父親と姉が、小さめのスーツケースをガラガラと鳴らしながら出てきた。

 菜乃が大きく手を振り、気づいた姉がぱあっと顔を明るくする。

 姉の日菜香さんとは沖縄で一度会っているし、菜乃と一緒にテレビ電話で話をしている。ただ父親にかんしての情報はなにもない。

 ふたりと対面して、まずはきちんとお辞儀をした。

「菜乃さんとお付き合いをさせていただいています、椎名虹輝です。本日は遠いところお運びいただきましてありがとうございます」

「虹輝さんこんにちは~」

 日菜香さんのやわらかな雰囲気が今は助かる。

「菜乃の父、新川清景(きよかげ)です。今日はよろしくお願いします」

 父親は対照的に顔を引き締めて頭を下げた。

 菜乃の母親は離婚後、娘のためを思って名字を旧姓に戻さなかったそうだ。

 華奢で色白であった母親に対し、父親は適度に日焼けをした肌にがっしりした体格で、顔の作りが姉妹ふたりと似ている。

 姉は父親の顔そのまんまで、妹は少し母親の遺伝子の影響を受けているといったところか。
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