凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 耳から入ってきた声は一直線に胸を貫き、呼吸が苦しくなるほど私の心を掻き乱していった。

 椎名さんのフライトに当たってよかった。宝くじに当選したような心持ちで息をつき、騒がしい心臓に『静かにしなさい!』と言い聞かせる。

 彼とどうにかなりたいなんてお門違いな発想はない。ただ憧れるのは勝手だろう。

 椎名さんの存在は私にとって栄養ドリンクと同じ。日々疲弊する心身に潤いを与えてくれる心強い味方。しいて言えばそんなところ。

 それから椎名さんの宣言通り無事に那覇空港に到着し、二時間三十分という短い移動時間で姉のいる沖縄へと降り立った。

 荷物が少なく機内に持ち込めるスーツケースで事足りた私は、足早にタクシーの停留所に向かい一台の車に乗り込む。

 姉の待つホテルに向かいながら、沖縄を訪れるのはこれで何回目になるのだろうと、ふと考えた。
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