凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 箱を開けると涙のしずくと呼ばれると言われるティアドロップ型のネックレスが入っていた。

 やわらかな曲線が女性らしく、中心に水色のダイアモンドが輝いている。……ダイアモンドだよね?

 意図がわからずネックレスを前にして固まっていると、椎名さんが身じろぎしてつられて私もビクッと身体を揺らす。なんでもない動きなのに過剰反応してしまう。

「この前誕生日と言っていたから。よかったら受け取ってほしい」

「え!?」

「新川さんの好みがわからないからシンプルなものにしておいた。ネックレスならいくつあっても困らないだろうと思ったんだけど」

 自信なさげに眉根を下げる顔を信じられない気持ちで見つめる。

「……ありがとうございます。あまりゴテゴテしたデザインのアクセサリーは好きじゃないので、こういうシンプルなもの、使いやすくて好きです」

「よかった」

 椎名さんは安堵した様子で微笑む。そこには私を喜ばそうとしている感情がしっかりと見えて、彼の思いやりに胸がぎゅうっと締めつけられた。

 しかもよく見たら私が好んで購入するアクセサリーブランドのものだ。

 そういえば羽田空港にテナントが入っている。もしかして椎名さんの用事って、これ?
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