凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「例のお相手ですか?」

 俺がメッセージのチェックをしている間、黙々と料理を食べ進めていた紺野が首を傾げた。

「お土産は紅茶がいいそうだ」

「そんなささやかなものでいいなんて、やっぱり椎名さんが好きになるだけの理由がありそうな人ですね」

「気配りができる女性だよ」

 会話を続けながら指先を動かしてメッセージを打ち込む。

【わかった。紅茶を買っていくよ。羽田に戻るのは明々後日の水曜日なんだけど、新川さんの予定は?】

 送信してから、グイグイ攻め過ぎではないかと我に返る。

「紺野は交際相手とはどのくらいの頻度で会う?」

「え、俺ですか? うーん……社会人になってからは誰とも付き合っていないので……そうですねえ」

 たっぷりと悩んだ末、「週一?」と疑問形で答えた。

「お互いの仕事や住んでいる場所とかもあるので、実際に会えるかどうかは別として、俺は週一で会いたいです」

「週一か」

 新川さんはそれでは足りないだろう。不安になりやすいのなら毎日の連絡は必須だし、たとえ十分、十五分だけでも二、三日に一度はふたりだけの時間を作らないと心穏やかに生活できないはず。

 俺はそこまで彼女にしてあげられるだろうか。

 こうしてむやみやたらに近づき、距離を縮めようとしている行為が果たして新川さんのためになるのか疑問を抱かずにはいられない。
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