クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
するとそこへ、ドアが開く音とともにもうひとり誰かが入ってくる。
振り向くとそこには、由岐先生より少し年上だろう男性がいた。
「あっ智成、ちょうどいいところに。今徹也がお付き合いしてる方を連れてきてくれたの」
『智成』、そう呼ばれた彼は一重のつり目で眼鏡をかけ、神経質そうな線の細い雰囲気だ。
彼がにこりともせず由岐先生を見ると、由岐先生も特に言葉を発することもなく、その場の空気が一瞬ピリッとした。
ん?なにこの空気……?
違和感を感じていると、彼……智成さんは続いて私へ視線を向けた。
「どうも、徹也の兄の由岐智成です」
「はじめまして、荻野美浜と申します」
「智成は元々うちの外科医をしていてね、今は医大のほうで教員として働いているの。よろしくね」
医大、というのはうちの病院の敷地内にある医大のことだろう。
まだ若いのに外科医を経てそこの教員として働いているなんて、智成さんもエリートなのだと思う。
「立ち話もなんだし座りなさい」
「そうね、お茶でも淹れましょうか」
「あっ私手伝います!」
お客としてくつろぐのもどうかと思い、私も由岐先生のお母さんとともにキッチンへ向かった。
「そうだ、せっかくだしいただきもののとっておきのカップ使おうかしら。あ、でも地下にあるし結構重いから徹也に頼んだほうが……」
「あの、私でいいなら持ってきます」
「あら、いい?そこの階段から地下に入って、すぐ右手のケースにあるから」
由岐先生のお母さんからの説明を受け、私は部屋を出て階段を下りた。