~狂恋~夫は妻を囲う
「わかった!もう二度と行かない!
いろちゃんが行くなって言うなら、もう行かないよ!
仕事終わったら、真っ直ぐいろちゃんとこに帰るね!」
「いいの?」
「うん!もちろん!
でも嬉しいなぁ。いろちゃんがそんな可愛いワガママ言ってくれるなんて…!!」
魁聖が彩羽の目元を拭い、キスをした。

魁聖は心の底から喜んでいた。
狂喜とは、こうゆうことを言うのか……!!

それ程まで、彩羽が自分に依存し落ちている。
こんなに嬉しいことはない。

でも彩羽は逆に、思いをぶつけて頭が少し冷えていた。
「魁聖…ごめんね……」
「えーなんで謝るの~?
俺、ほんとに嬉しいよ?」
「無理だよね…お仕事でクラブ行かなきゃいけないときあるよね…?
今日もそうだったんでしょ?」
「まぁ、そうだけど、もう行かないよ!」
「でも……」
「大丈夫だよ!俺はいろちゃんしかいらないから!
いろちゃんの為なら、何でもするって言ったでしょ?
………ところでさ、なんでわかったの?」
「え?」
「俺がクラブに行ったって」
「香水。
理恵さんが家に来たの」
「は?」
今度は魁聖の雰囲気が黒く染まる。

「もちろん、家の中には入れてないよ。
ロビーで少し話をしたの」
彩羽は理恵に言われたことを、全て話した。
「へぇー、そんなこと言ってきたんだ……」
「私、言い返せなかった。
理恵さんの言う通りだし……」
「………」
「魁聖…?」
「ん?
あ、ごめんね!ちょっと、考え事。
いろちゃんを選んだのは、この俺だよ?
だから、自信もって!!」
「うん…」

「じゃあ…今からはいろちゃんのお願い聞く時間だね!
失神するくらいに、愛して抱いてあげるよ!」
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