白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 そうだ。あろうことか自分は身体を彼に洗われてしまったのだ。そのうえ、泡だらけの身体のまま、唇を求めあって――……

 思い出すだけで顔が紅潮する。
 自ら舌を差し出した女怪盗を、ウィルバーはやっぱりはしたない女だと判断してしまっただろうか。
 唾液を絡ませてお互いの存在を確認しあって、そのまま気を失ってしまったのだと思い知り、ローザベルは頭を垂れる。

 ――きっと呆れられてしまったのね。だから寝台につないで監禁して……監禁?

 そういえば、このあと拷問のつづきをこの部屋で行うと言っていた気がする。
 拷問、と口では言っていたけれど、きっと痛くない、いやらしくて気持ちのいいことだ。そして直前までローザベルの身体を高めて、ウィルバーは自白を促すのだ……最後までしてほしいのなら、真実を語れ、と。

 真実など彼に語れるわけがない。
 だって、ウィルバーはローザベルによって妻の記憶を消されているのだ。
 だというのに、浴室での行為はまるで恋人同士であるかのように甘く激しかった。ローザベルが気を失わなかったら、最後までしていたかもしれない。
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