白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

「マイケル・コルブス、裏切り者の黒き烏がっ! よくもわたしのウィルバーさまをっ……! 許さない」
「断罪される覚えはありませんが」
「しらばっくれないで! わたしは視た(・・)んだから……貴方の思い通りにはさせなくてよ」
「――な」

 視た、という言葉にマイケルがはじめて顔色を変える。ローザベルが持つアイーダ譲りの未来視の能力を、彼が知らないわけがない。怒気をつのらせてローザベルは一喝する。



「烏ふぜいが、“星詠み”のノーザンクロスを舐めんじゃねぇ!」
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