白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 その一方で、第二皇太子ゴドウィンは魔法の存在を容認することで、古民族の存在を受け入れていた。彼自身、宮廷魔術師だったアイーダから古代魔術の理論を学んでおり、自身は魔法を扱えないものの理解がある。マイケルの祖父などはフェリックスを王にするよりも自分たちに利益があるのではないか、うまくすれば傀儡として操れるのではないかと思うようになっていた。

 そんなことつゆ知らず、成人したマイケルは王国憲兵団に入団し、国王アイカラスに仕えるようになる。二代目国王アイカラスはマイケルの実家があの烏座だときいても態度を変えることなく、彼自身を評価してくれた恩人である。実家にうるさく言われようが、アイカラスが玉座に座っている間は彼に忠誠を誓おうと、マイケルは心に決めた。
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