白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
怪盗アプリコット・ムーンが捕まって以来、王家に連絡を寄越さなかった彼らだが、どうやら“やりなおしの魔法”の影響でローザベルの存在をすっかり忘れていただけらしい。今になって正気を取り戻したのか、ノーザンクロスの一族に娘はいないという回答を撤回すると言い出してきた。アイカラスはこの報せを受け「ならばもう一度、ふたりに盛大な結婚式をさせろ」と命じ、ノーザンクロス一族の姫君の存在を容認した。ただのローザベルはこうしてローザベル・ノーザンクロスという名を取り戻したのである。
憲兵団長ウィルバーは事態を収束した褒美としてローザベルとの結婚式を要求したらしい。
ウィルバーは今度こそローザベルの愛らしい存在を国民に盛大に見せつけるのだと息巻いているのだとか。
ジェイニーははいはいと呆れながら彼と眠れるローザベルを花の離宮まで転移させたが、そう簡単に彼女が呪いの眠りから目覚められるのか、実際のところ気が気ではない。
ふよふよと風の精霊たちが心配そうにまとわりついている。
彼らも王城が平穏を取り戻したことを喜んでいるけれど、まだまだ動きに落ち着きがない。