LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「だから、結衣、あなたも離婚してちょうだい」
その母親の言葉に、私の横に居る斗希も驚いているのが、
え、と溢れたその言葉で分かった。
「だって、優成の結婚が駄目になったのに。
同じ兄妹のあなただけがなんでってなるでしょ?
兄がまだ結婚してないのに、妹がっておかしいの。
幸い、あなたと滝沢さんの間に子供はまだ居ないみたいだし」
母親はさも当たり前のように話しているけど、私は頭の中が混乱してしまう。
「優成可哀想でしょ?
優成今それで凄く落ち込んでて。
今日も部屋から全然出て来ないし。
それなのに、あなただけそうやって幸せになって。
そんなあなたを見たら、優成きっと今より傷付くの」
そう言って、その手に持っていた茶色の大きな封筒から、一枚の紙を取り出して、
それをテーブルに置いた。
それは、離婚届。
「滝沢さん。
結衣と離婚するのは、あなたの為でもあるのよ?」
「どう言う意味ですか?」
そう訊く斗希の言葉を聞きながら、
母親に対して、余計な事言わないで、と胸の中で強く思う。
それは、言葉にならなくて、
動悸に変わる。