LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
川邊篤、彼は32歳という若さで、今回この会社の専務取締役へと就任した。


そんな彼は、経営統合前のベリトイホールディングス会長であり、現ベリナングループ会長である川邊正(かわべただし)の息子。


ただ、この彼は、普通の御曹司ってわけではなく、
川邊会長が愛人か何かに産ませてずっと放っていた子供らしく。


川邊篤が21歳の時に、自分の息子だと認め、自分の戸籍に入れたらしい。


この人の事は、興信所に調べる迄もなく、この会社に入社してすぐに、色々と聞かされた。


昔、非行に走っていて、中卒だったと。


川邊会長に引き取られてから、大検を受けて大学へと行き、
26歳の時に前のベリトイホールディングスに入社した。


そして、入社後すぐに課長になり、
部長となり、
今回、専務取締役へと就任した。



「いや、その、うちのガンフォーマーによく似たロボットキャラの文房具出してる会社、
ヤクザのフロント企業らしくて。
だから、うちの会社としては、あまり事を荒たてずに、向こうに忠告くらいで済ませたいって」


今日、滝沢斗希が川邊専務の元へと訪れたのは、
今、川邊専務が口に出したトラブルの為。


「いや。向こうが著作権侵害しているなら、堂々と訴えても構わないんじゃないのか?」


「それがな。
昔あった事件みたいに、うちの食玩に毒を入れる、みたいなような事を匂わせてくるんだってよ。
それを脅しにならないように上手く。
ほら、そんな噂が立つだけでも、売上が下がるし、どうしたもんか、って。
社内でも、このまま見て見ぬ振りで通すかどうかでも、意見が分かれてて」


「なるほどね。
そんなトラブルだから、篤に回って来たんだ」


私は、専務室の扉付近へと立ち、
応接テーブルで話し合っている、滝沢斗希と川邊専務に目を向けている。


滝沢斗希は、先程私がテーブルへと運んだコーヒーに、口を付けている。


滝沢斗希をこの専務室へと通した際、
彼は私の顔を見たが、私の事を覚えていないのか、
笑顔で私に頭を下げていた。



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