私は1人じゃない
悔しいけど当たっても当たっても蓮は強引に貫く。
私が砕けてしまうだけ。
斜め前を見ると、見慣れた背中がいる。
ーーーー和藤先生、、いや、勇斗さん。
白のズボンに黒のボーダーシャツを着ている勇斗さん。
勇斗さんにとっては仕事で教師モードだけど私は学校モードじゃないし、いつもスーツ姿なのに今日はラフな格好だから和藤先生って感じがしない。
いつも私が見てる勇斗さん。
「和藤先生、早く行こうよ!!」
「遅い勇斗っち!!」
女子から声をかけられて「分かったよ」と生徒のところに行って勇斗さんの背中は見えなくなった。
漣じゃなくて勇斗さんと同じ班だったらいいのに。
私の隣に勇斗さんがいればいいのに。
「なにぼーっとしてんだよ」
「……う、うん?」
「なに考えてた」
「……なにも考えてない」
「分かりやすい嘘をつくなよ」
「嘘じゃない」
「……ったくムカつくな」
蓮がなににムカついてるかが分からず、
「だったら、私から離れてよ」
と心の中で呟いた。
蓮からは怒られるから口には出せないけどーーーー。