私は1人じゃない
急に勇斗さんが起き上がって私の上にかぶさっている。
「俺をいじって楽しかった?」
「……勇斗さ、ん」
「ちょんちょんして可愛い可愛いって………俺をからかってる??」
「違う……本当に可愛いって思って………」
「昨日の杏衣ちゃんの方が可愛かったよ」
「………何言ってるの」
「部屋に戻ろう?って言ったら嫌だーってごねるし、1回寝たらそのまま起きないし、勇斗さーん離れないでーなんて言うし……「もう分かった!!」」
なんてことをしてしまったの。
いくら寝てたとは言え勇斗さんにそんなことを言うなんて私の睡魔悪魔。
甘えてたみたいで恥ずかしくて顔から耳まで赤くなっているのが自分でも分かる。
もしかして、私が勇斗さんのこと好きだってバレたかな。
勇斗さんが私のことを好きだとは限らないし、バレても付き合えない。
ーーーー私が好きだって言葉にしたら私は勇斗さんと離れなきゃいけない。
それは避けたい。
勇斗さんが私をからかっているだけだとしてもこのままでいたい。
「杏衣ちゃん、照れてる?」
「……照れてない」
「杏衣ちゃんはそういう風に甘えるんだね〜」
「それは寝言だから」
「でも杏衣ちゃんの近くに寝たよ、杏衣ちゃんが甘えるから」
「……だからそれは寝言だよ………」
「だったら今甘えてみな?」
「……え?」
「前に俺を抱きしめたように、甘えてみな?今日は会えないんだよ」
「え、そうなの?」
「今日はクラス別行動だし、夜は職員会議と先生方と一杯約束してるから」
「そーなんだ……」
「会えなくて寂しい?」
答えわかってて聞いてるでしょ。
口角が上がってて目が笑ってる。
「……寂しくない」
ほんの少しの抵抗。
勇斗さんが思ってるようなことは言わないよ。
「へ〜、寂しくないんだ、まだ時間があるからたくさん甘やかしてあげようと思ったのに」
そうやって後悔をさせて寂しいって思わせるようにしてる。
もうすぐ部屋から出なきゃいけない。
本当に寂しくなる。
あー、勇斗さんと迎える朝がこんなに幸せだとは思わなかった。
この時間がずっと続けばいいのに……
勇斗さん、大好きだよ。
ーーー勇斗さんの頬にキスをした。