木沢彰吾、禁煙を決意する 『恋に異例はつきもので』おまけSSその1
 そんなこんなで、けっして手に入らないと思っていたから、花梨が俺の手のなかに飛びこんできたときの幸福感たるや、このまま昇天しちまうんじゃないかと思ったほどだった。

 潤んだ瞳で俺を見つめる花梨が愛おしすぎて……

 こいつのためなら死ねる、と本気でそう思った。

 だから、たかが禁煙ぐらい……やれないはずはない。

 くそっ、やってやる。ぜったい成功させてやる。 

***

 1週間後の週末。
 俺はとうとう、宣言した。

「禁煙する」
「彰吾さん……」

「だが、ひとりじゃ自信がない。その間、ずっとそばにいてくれないか」
「はい」 

 ということで、棚ぼた的に半同棲から同棲へと昇格した。

 翌週の週末、花梨はとりあえず必要な荷物をスーツケースに詰めて、俺の家に越してきた。
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