【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「紅音!」
「爽太さん……!」
仕事を早く終えた爽太さんと待ち合わせをした夕方16時半すぎ。爽太さんはわたしを見て慌てて駆け寄ってきた。
「すまない。遅くなってしまった」
「いえ、大丈夫です」
初めてデートとした時の緊張感みたいなものが、いつもある。
「さ、行こうか」
「はい」
爽太さんはいつも、どこかに行く時には必ず手を繋いでくれる。夫婦なら当たり前のことだけれど、それがいつも嬉しく感じるのは、なぜなのだろうか……。
夫婦だからこそ、わたしたちはこうして夫婦らしいことを出来るのは嬉しい。
「紅音、今日メイク変えた?」
「え、分かりますか……?」
確かにいつもよりもメイクを少し変えた。デートということもあり、アイメイクを少し濃いめにしたのだけれど……。
まさか気付いてくれるとは思ってなかった。
「もちろん。そのメイクも可愛いよ」
「……ありがとう、ございます」
【可愛い】と言われると、それこそちょっと照れるけど、やはり嬉しい。
「紅音、今日は過ごしやすいな」
「そうですね……。過ごしやすいです」