鬼は妻を狂おしく愛す
雅空の呼びかけで、謙吾の祖父が両手を縛られた状態で、部屋に連れて来られた。

「じぃちゃん!!?」
「謙吾…」
祖父の元に駆けつけたいが、雅空にしっかり押さえつけられ動けない。
「おい!じぃちゃんには、関係ない!
離してくれ!!
教えるから!美来が喜ぶキスの仕方!!」

「あ…まだ、考えてる……
早く、美来の存在を消せ!!」
「わかったから、頼む!!」
「……お前は、バカだな…」
「は?」
「最初に言っただろ?
俺は、鬼頭組の若頭だぞ。
お前、俺のこと何て言ってた?」
「え……イカれたヤクザ……
………って、まさか!」

「奥田!」
「はい」
スッと拳銃を出した奥田。
「やめろ…」
「お前が……」
謙吾の祖父のこめかみに銃口が当たる。
「やめてくれ…」
「俺を…」
「やめろぉぉぉぉーーーー!!!!」

「挑発するからだ……」

パァァァーーン━━━━━!!!!



━━━━━一方の美来は、犬飼と食材の買い物の為街にいた。

【私が持ちますよ。今日はそんなに重くないし】
「いえ。荷物持ちも俺の仕事です」
【たまには犬飼さんも、お仕事お休みしませんか?】
「え?」
【雅空はお休みはいらないって言ってたけど、やっぱり必要だと思うんです】
「お気持ちだけで十分ですよ」
できる限り美来を安心させるように微笑む犬飼。

【犬飼さんは、笑顔が素敵ですね。
とても柔らかくて、優しい】
美来を微笑み返し、見上げて伝えた。
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