鬼は妻を狂おしく愛す
「美来から離れろ!?今すぐに!!!」
「は、はい!申し訳ありません!!」

バッと離れた犬飼。
その様子に、美来が振り返った。
雅空の姿を見て、フワッと華やかに微笑む美来。

今度は雅空が、美来の足元に跪いた。
「この手、どうしたの?」
【転んだの。お買い物中に】
「大丈夫?」
【うん、擦りむいただけだよ】
「そう…」
そう言って、カットバンの上からキスをした雅空だった。

「本当のことを教えろ!?」
美来が夕食の調理中。
雅空が犬飼を書斎に呼び出し、問いただしていた。
「はい」
犬飼は全て、包み隠さずに話した。

「も、申し訳ありません!
そんなに力を入れたつもりはないんです!」
「もういい、下がれ!」
「はい…失礼しました…」

雅空は煙草を取り出し、吸いだした。
そして、煙をフーッと吹いて椅子にもたれかかった。


【雅空は?】
ダイニングに戻ると、美来が近寄ってきた。

「あ、すぐに来られますよ」
微笑むと、美来も微笑んだ。
犬飼はまた、美来に触れそうになり宙で手が止まった。

「では、失礼しました」
犬飼は頭を横に振り、その場を後にした。

食事をして、一緒に風呂に入っている雅空と美来。
雅空の足の間に挟まれ、向かい合っている美来。
「聞きたいことがあるんだけど」
【何?】
「美来の好きなキスの仕方ってどんなの?」
【急にどうしたの?】
「知りたいなって思ったんだ」

顔が赤くなる、美来。
「教えて?美来の全てが知りたい」
【内緒】
頭を横に何度も振りながら、答えた美来。
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