鬼は妻を狂おしく愛す
鬼は妻が愛しくてしかたがない
仕事終わり、雅空が帰ってくる。

でも当然、美来は気づかない。

雅空がリビングに入ると、美来は夕食の準備をしていた。
とても楽しそうだ。
雅空は、フッと微笑んで美来を後ろから抱き締めようとゆっくり近づく。
でも途中で動きが止まる。

雅空は美来に声をかけずに、風呂場に向かいシャワーを浴びた。全身を綺麗に洗い流し、再度美来の元に向かった。
そして今度は迷いなく、後ろから抱き締めた。

ビクッと美来が震えて、雅空の腕の中で振り返った。
雅空を認めた美来は、フワッと微笑んで向き直り抱きついた。
そして一度腕の中から離れて、手話で雅空に話しかけた。
【おかえり。
お風呂入ってきたの?いい香りがする】
「ただいま。
そうだよ。ちゃんと綺麗にしないと美来に触れられないだろ?」
ゆっくり話すと、美来は口の動きで相手の言ってることがわかる。
雅空は今では完璧に手話が出きるが、美来の意向でなるべく話すようにしているのだ。

手話がわからない人と話す時に、話がわかるように常に口の動きを観察してたいからだ。

【気にしてないでって言ってるでしょ?
私は雅空の奥さんなんだから】
「ダメだよ。美来は綺麗なんだから、俺みたいな悪魔と結婚してくれただけでも、幸せなんだ。
だから、これくらいはしないと」
【私にとっては、雅空は最高の旦那様よ】
「フフ…ありがと。
キスしていい?
ちゃんとシャワー浴びたからいいよな?」

【ダメ!!温かいうちにご飯食べよう】
そして美来は自身の口を塞いだ。
「手…退けて?」
頭を振る美来。
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