天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
若林に酒は飲ませてはいけない。そう思うもニコニコと笑いながら若林が俺に詰め寄る。

「愛も信じない部長なら、私の旦那様になってくださいよ! 報酬は……。うーん。私のお給料だと月1万円……」

「佐知、それは安すぎよ。せめて二万円」
俺の一カ月は一万かよ。そうは思うも俺はどうせ恋愛もできないし、結婚なんてするつもりもない。
しかし、ふと最近弁護士を通じて連絡があったことを思い出す。『資産家の娘とお見合いしろ』今になって何か役に立てと言うことなのだろう。

「いいよ」

そんな父親へと反抗心が芽生えたのは否定しない。父親の思い通りになどさせない。そんな思いから無意識に返事をしていた。

静かに答えた俺に、若林が少しだけ驚いた表情をしたのがわかった。冷徹上司の俺が了承するなどと思ってもみなかったのだろう。

酔っているだろうし、若林の言葉を利用したのは俺だ。しかし、なんとなくこのコロコロと表情の変わる部下に興味を持ったのも事実だ。
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