天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
それにビクリと若林が動きを止めた。

「絶対お母さんだ……」
ぼそりと彼女は言ったあと、ノロノロとバッグから取り出すと大きなため息を付く。
横にいた友人であろう女性がガバッと起き上がり、若林を見て口を開く。

「佐知、絶対にお母さんよ!」

「そんなことわかってるよ、どうしよう。どこかに旦那様落ちてないかな……」
そんなやり取りをしつつ、若林は泣きそうな表情を浮かべる。
あまりにもめちゃくちゃな事を言っている二人に、俺は驚いて視線を向けていたのだろう。
友人の女性とバチっと視線がある。

「いた。とりあえずその人でいいじゃない?」

「え?」
スマホはまだ執拗になり続けていて、手にスマホを持ったまま若林が俺を見る。
「本当だ。いた」

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