余命1年の君へ

余命宣告

余命宣告


「残念ですが、彼女の余命は後1年です」

 深刻そうな顔をして医者が告げる。

 それを聞いた時は頭が真っ白になったの覚えている。

 病院で色々な手続きをして、とりあえず2人で家に帰った。

 帰り道、なんて話せばいいのか分からず考えていると、いつもと変わらない笑顔で話しかけてくれる君がいた。

 本当に、君は良くも悪くもポジティブだった。

 今にも泣きそうなくらいなのに、どうして君はこう、笑わせてくれるんだろう。

 けど、こんな日々もあと1年かと思うとひどい喪失感に襲われてしまった。

 本当は、君には長生きしてもらいたい。たくさんの幸せを感じてもらいたい。変わってあげられるなら変わってあげたい。

 家に着いて、部屋に入る頃には堪えれなくなった。

 君は背中をさすって慰めてくれる。

 これじゃあ、どっちが余命1年か分からないじゃん。

 たくさん泣いた。君も一緒に泣いてくれた。

 本当は君の方が辛いはずなのに。

 本当は君の方が怖いはずなのに。

 どうしてそんなに優しいの?

 どうしてそんなに強いの?

 どうやったらこの悲しみを無くしてくれるの?
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