なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む
東京

二人の生活

 それから玲於奈さんと私は午前中の新幹線に乗って東京に戻った。

 駅の近くのお蕎麦屋さんで昼食も済ませてから帰宅した。

 マンションに帰ると何だか落ち着けている自分に驚く。私はもうここが自分の家なんだと思っているんだろうか?

 それとも玲於奈さんの傍が私の居場所だと感じているのかな?

「茉帆。疲れてないか?」

「うん。少しだけ」

「色々あったからな。少し休んだら?」

「そうさせて貰おうかな……」

「ご両親にこれ以上心配掛けられないし」

「うん。ごめんね。お父さんがあんな事言うとは思わなかった……」

「いや。当然だろう。大切な一人娘なんだよ。茉帆は」

「そうだね……」

「そうだよ」

「着替えて少し休むね」

「ああ。ゆっくり休んで」
玲於奈さんの笑顔は見ていて落ち着く。

 部屋に入って着替えてベッドに潜り込む。
 直ぐに眠ってしまった。




 目が覚めた……。
 どれくらい眠っていたんだろう。

 スマホで時間を確認する。
「えっ? 六時半……」
大変……。夕食の支度が……。

 リビングに行くと玲於奈さんが
「もう少し寝てても良かったのに」

「でも夕食の支度が……」

「今夜は僕が作ったよ」

「えっ? 何を作ってくれたの?」

「明太子のパスタとサラダ」

「玲於奈さん料理も出来るの?」

「難しい物は作れないけど?」
この笑顔に癒やされる……。
「さあ、食べよう」

「うん。ありがとう」

 ダイニングテーブルに着いて
「美味しそう」

「そうか?」

「私、明太子パスタって大好きなの」
一口食べたら……。
「うん。美味しい」

「これくらいならいつでも作ってあげるよ」

「ありがとう」


< 100 / 188 >

この作品をシェア

pagetop