なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む
「先にシャワー浴びる? 飲んだら眠っちゃう可能性あると思うよ」

「あぁ。でも着替えもないし」

「ちょっと待ってね」
クローゼットを探してタグも付いたままのカットソーのワンピースを見付けた。下着も新品。
「これ、良かったら着て。そのまま祥子ちゃんにプレゼントするよ」

「良いんですか?」

「引っ越して来る時に買い過ぎて、着てくれると嬉しいけど」

「じゃあ遠慮なく」
祥子ちゃんは可愛いなんて喜んでくれている。

「いつも車で色んな所に連れて行ってくれるから、お礼のつもり」

「そんな大した事してませんよ」

「ううん。祥子ちゃんにどれだけ癒やされたか分からないよ。感謝してるの」

 順番にシャワーを浴びて二人で飲み始めた。

「先ずは何かお腹に入れないとね。悪酔いするよ」
サンドイッチやおにぎりを食べてから美味しそうな缶酎ハイで乾杯した。

「茉帆さんの付き合ってた人って、どんな人だったんですか?」

「うーん。そうね。優しくてちょっと強引な所もあって仕事も頑張る尊敬出来る人。だったかな?」

「それでも別れるんですよね……」
祥子ちゃんは大きな溜息をついた。

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